気侭日記

気侭にのんびりと更新中。

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2012-12-14-Fri-09:29

【 小説付き 】 306

▼虹の桜

アニメの虹の桜の話が好きです。
アニメ→漫画で入ってるので基本的に全部アニメ見てから漫画なわけですが、虹の桜はアニオリなのかなと思ってたらまさかのフルカラーだったんですね\(^o^)/欲しかった…
ところでルーシィさんが桜見てきれいって言ってるところを遠くからナツくんが見てたとかでもうぼくの脳みそ爆発しそうですよね美味しいですもぐむしゃあ!
にやにやしながら笑顔見てたんだよそれで嬉しがってたんだよなつるちゃんかわわわわわ///
虹の桜ふおおおおおおおおと思ってだな、上の絵も描いたんだがな。
妹に聞いたら「流星群?」て返ってきたので多分これ屋外なんだと(しろめ)

流星群といえば。
昨日双子座流星群だったらしいですね。
今日になって綺麗だったとか何個見たとかそんな話を聞いて羨ましくなりました。
実は一度も流星群って見たことないんだよなぁ…見たいなぁ
流れ星は小学生の頃に一度見たきりです。一個だけ。
いつか流星群ちゃんと見たいなぁ。寒さに負けないで。

追記になつるちゃん小説。
長編小説、これで終わりになります。
【星喰み 11/FTナツルー】









*11

「ナツ! ルーシィ!」
「無事かー?」
「見ての通りだよ」

駆け寄ってきたエルザとグレイに、周りに広がった焼け野原を顎で示す。それを目に留めて、二人が顔を見合わせ苦笑した。

「…我慢出来なかったのか」
「うっせ。元々する気もねぇよ」
「誰も我慢なんてしねーだろ…つか、そこでちりちりに焦げて伸びてるのが今回の首謀者か?」
「おう」

グレイに指差された男は、ナツの炎をモロに食らい丸焦げになって横たわっていた。エルザが「なんだ、普通の男じゃないか」と残念そうに呟く。

初めて今回の依頼を聞いたあの日。
ルーシィの様子に疑問を持ったエルザが、グレイを引っ張ってナツに事の顛末を聞きに行った。隣町での依頼のこと、ルーシィが出会った男のこと、『星喰み』のことーーー拙いながらも、ナツはありのままを二人と隣にいたハッピーに伝えた。

「印象に残りづらいと聞いていたから、どんな個性なしかと期待していたのにな」
「丸焦げになって個性でも出たんじゃないかな」
「お、ハッピー! 呼びに行ってくれてサンキューな」
「おかげで早くこちらに着くことができた。戦闘自体は終わってしまったようだが、早めに合流するに越したことはないしな」
「あい、それがおいらの役割だからね」

ハッピーがふふんと胸を張る。

「ナツとルーシィだし大丈夫かと思ったけど、ボスが見つかったならそいつを集中砲火した方が効率的だし」
「ま、群れのリーダーも所詮そいつに操られてたにすぎねぇしな」

今回の依頼は街近傍で暴れる魔物の退治。そしてルーシィを狙う男は魔物を操る術を持っていた。
ようは男が魔物達を操り、「星を食らう日」の噂を流す事で、妖精の尻尾、ひいてはルーシィをおびき寄せようとしたのだ。噂話から一般に連想されるのは天文上の掩蔽であり、『星喰み』ではない。星霊魔導士であるルーシィなら、天体現象に興味を持つ可能性は極めて高い。『星喰み』を掩蔽と思い込んで依頼を引き受けると見越したのだろう。

「しかし、幾つかの誤算が生じた」

まずはミラジェーン。
依頼を受け、噂話をただの噂とせずルーシィの魔力に繋げた。結果として依頼を引き受けることにはなったが、彼女の注意喚起がエルザとグレイを動かすきっかけとなった。

次にルーシィ。
男の魔法に囚われず、一瞬であっても自らの意志で月の魔力を操作した。変換器である彫刻の存在あってこその結果だったが、男を動揺させるには十分だった。

そして、

「ナツが記憶を失わなかったこと」
「オレ?」

エルザの言葉に、ナツが首を傾げる。エルザはそうだ、と頷いて続けた。

「今回の一件…相手にとって最大の誤算は、お前が奴の存在を記憶していたことだ。聞いたところ、奴の魔法は記憶操作ーーー人の無意識に手を加えるものだ。本人の意志では抗えない」

記憶操作はチャームのように魔法を理解してしまえば効かなくなるわけではない。操るのが無意識ゆえ、本人に違和感がないのだ。ましてや記憶を消すのは、その魔法の中でも最も簡単な部類にある。だからこそ、ルーシィも男の魔法を理解して尚、恐怖心に付け入られそうになってしまった。

けれどナツはどうだろう。

男の記憶操作を受けず、初めて出会った時の出来事を明確に覚えていた。忘れている部分がないほど明確に、だ。

「無意識を操作するというは、逆を言えば強い意識ーーー意志というべきか。それを操る事は出来ないし、弱点にも成り得る。無意識から生じた強い意志は、誰にも介入できん」

ルーシィは尋ねた。
ーー記憶を失くすのはあたしだけなの?

それに対して、ナツはこう答えた。
ーー違ぇと思う。
ーーけど、これだけは分かるんだ。
ーーオレはあいつが許せねぇ。

ただ許せなかった。
ルーシィを傷付けようとする男が。
自分からルーシィを、大切な仲間を奪おうとする男が。
それだけだった。

膨大な魔力が、絶対の存在が、人を支配するのではない。人を支配ーー否、奮い立たせるものは、その人間の強い意志。単純、それいで何者にも負けない、真っ直ぐな心なのだ。

滅多にない褒め言葉に、ナツはくすぐったそうに眉尻を下げ、視線を右往左往させる。目の端でルーシィがずり落ちてきたのを見付けて片腕でしっかり抱え直し、再度その寝顔を覗き込んだ。その寝息が今度こそ規則的なことを確認し、満足して顔を上げる。
と、

「……」
「ナツ……」

目の前では、エルザとグレイが半眼でナツを睨んでいた。怒るというよりも呆れて物が言えない、といった表情である。その二人の横を飛んでいるハッピーだけは楽しげに「でぇきてるぅ」と口に両手を添えて含み笑いしていた。
周りの分かり易すぎる反応に、ナツは不機嫌に口をへの字に曲げた。

「ンだよ」
「おま…言わせる気かよ…」
「なに、今までの事が事だったのだから仕方がなかろう。ナツといえど仮にも人の心を持った人間だ。だが次はーーー分かっているな?」
「うぐ…」
「いやエルザ、それだとナツが鈍感の代名詞に、」
「そうだな。それでは確かにグレイに使えないからな」
「ぐっ…ッ、何でこっちにまで飛び火したんだよ…!」
「ははん! ざまーみろ!」
「お互い自分の心に手を当てて考えてみろ」
「「あい」」

エルザの睨みに、最後はナツとグレイが二人揃ってハッピー化するというなんとも締まりのない感じに纏まってしまった。蚊帳の外のハッピーは、相変わらず楽しそうに笑っている。ナツも一度はその能天気な様子に恨めしげな視線を向けたが、すぐに辞めて小さく息を着いた。

エルザが何を言いたいのか分かっている。
グレイが何で呆れているのか知っている。
だけど少し、ほんの少しだけ勇気が足りなくて、その場で足踏みしているだけ。

情けねぇなと苦笑いしながら、聞こえた声にそっと腕の中に視線を落とした。寝息に混じって微かに漏れた声なのか、長い睫毛がふるりと震える。
もうじき声が聞ける。
そう思うと、先程までの躊躇も吹き飛んだ。ナツは何も告げずに踵を返し、足早にその場を離れた。

「大丈夫かね、あいつ」

遠ざかる仲間の背中を見送りながら、グレイは長く長く息を吐く。その様子に、エルザがくすりと笑みを零した。

「一度点火してしまえば、後は成るように成るさ。あいつは炎の魔導士だからな」
「あい、おいらもそう思うよ」
「ハッピーは一緒に行かないのか?」
「おいら空気の読める猫なのです。その分後でたっぷりからかうよ」
「性格悪いっつーんじゃねぇのかそれ…」
「じゃあグレイだったらどうするのさ」
「そんなん決まってんだろ。からかうさ」
「だよねー」

三人はそんな他愛ない会話で笑い合った。

すぐに来るであろう未来を思い描きながら。



*  *  *



目を開けて最初に飛び込んできたのは、見慣れた桜色だった。

「……ナツ」
「ん」

ルーシィは重たい瞼をゆっくりと上げて、覚醒し切らない脳でナツを見上げる。後ろに見える空はまだ暗く、未だに地上へ月光が降り注いでいた。
眩しさに目を細めると、コツンと額に何かがぶつかった。

「また寝んなよ、ねぼすけ」
「ーーーッ!?」

じんわりと伝わる熱が、それが何であるかを徐々に認識させる。同時に、目前まで迫ったナツの瞳が、ルーシィの脳を一気に活発にさせた。瞬時に距離を取るべく腕をナツの肩にかけて突っ張ったが、ルーシィの身体はナツに片腕で固定されていてビクともしない。同じ状況に陥った先程の記憶も蘇って頭が沸騰するくらいに熱が集まったりと、ルーシィは一人パニック状態だ。
混乱と羞恥でころころ変わるルーシィの表情を眺めて満足したのか、ナツはくっ付けた額を少しだけ離し、竜牙を見せて笑った。

「おーし、起きたな! さっきはお疲れ、ルーシィ」
「お、起きたけど…! 起こし方ってもんがあるでしょ! あんたは近過ぎなの! ハッピーを起こす時にこんな事する!?」
「いあ、しねぇけど…ハッピー起こすなら目の前に魚出すだろ。そっちのが良かったのか?」
「どっちもイヤよ!」

噛み付くルーシィに、ナツは「ルーシィらしいな」とカラカラ笑う。それを目前でやられるのだから、ルーシィは心中穏やかではない。耳の良すぎる竜の子に、せめて自分の心臓の音を聞かれまいと腕に力を入れたが、ナツに抱き寄せられたせいでその距離はあっけなくゼロになってしまった。

「な、ななななな…」
「何で離れようとすんだよ」

いつもより低いナツの声に、ひゅっとルーシィが息を吸う。

何でって、どうして聞くのよ。
だってあんたがいつも言うんじゃない。

「わ…私とあんたは、チームメイトでしょ」
「チームメイトだと離れて良いのかよ」
「離れて良いっていうか…そもそもこんな状態にならないと言うか…ナツのパーソナルスペースが狭過ぎるというか…」
「? なんだよ、よく分かんねーな」

ナツは怪訝に眉を顰め、首を傾げる。ブツン、とルーシィの頭で何かが弾け飛んだ。

「…よく分からないはこっちの台詞よ」

ポツリと吐き捨てられた言葉は、それでも耳の良い相手には届いたようで、ナツは更に眉間にシワを寄せた。
あぁもう、分かってるのに。
どんなに言い募ったって、彼には伝わらないって。きっと勘違いされて終わるか、思わせぶりな発言に自分が一喜一憂してしまうだけだって。

分かってる。
分かってるのに、

理性を無視して、感情が言葉として紡がれていく。
想いが溢れていく。

「傍に来て、隣にいて、一緒に仕事して、毎日のように部屋に無断で入って、勝手に人の部屋漁ったりして、今みたいに思わせぶりなこと言って。あんたはきっと何の気なしに言ってるんでしょうけど、例えチームメイトでも、あたしは女だしナツは男なの。それで何も思わない程、あたしは鈍くないわ」

自分が世間知らずなことくらい百も承知。でも、他の仲間を見ていればナツの行動は、『ただの仲間』としての度を過ぎていることくらい分かるのだ。毎日飽きもせずルーシィの家に通い、当たり前のように隣を陣取り、楽しそうに笑いかけてくれる。それを執着と言わず何と表現すれば良いのか。けれど、ナツのそれは特別な感情からくるものではない。純粋に、単純に、仲間を大切にする気持ちからの行動だ。何度も思い知らされた。

そう、何度も。

気持ちとは裏腹に、ナツが笑うたび、ナツが傍に駆け寄ってくるたび、ルーシィの心は満たされていった。彼の温かさに思わず笑みが零れた。嬉しいのだと、幸せなのだと気付いたのは間もなくの話。その頃から、ルーシィはナツに淡い心を抱くようになっていった。同時に、恐怖心も芽生えた。自覚はなくても、これが相手を、ナツを、束縛する感情であり迷惑がられるものだと分かってしまったから。

ーーー気付かれたら嫌われる。

ナツにだけは嫌われたくなかった。傍にいて欲しいと願ってしまった。
エゴイズムだと分かっている。けれど、やっと手に入れた夢であり幸せを、自らの手で崩したくなかった。だからこそ、ルーシィはその気持ちに背中を向け、見て見ぬ振りを貫いてきたのだ。

「なのに…ッ、何でズカズカ入ってくるの!? 引っ掻き回してくるの! もう、あんたに振り回されるのはイヤなのよ! こっちの気も知らないで、」
「それはオレの台詞だ」

聞き覚えのある言葉に反論を遮られ、ルーシィは目を白黒させてその張本人を見上げた。不機嫌そうに唇を尖らせ、細い眉を歪め、仏頂面のナツが三白眼でじとりとルーシィを睨みつける。

「何でも決め付けんなよ。ルーシィだってオレの気なんて知らねぇだろ」
「な…何の話よ」
「ほらそうやって逃げる。そこまで察し悪くねーだろ? 会話の流れで分かれよ」
「あんたがそれを言う!? いつもブチ切るのはナツの方でしょ!?」
「おぅ、そこは良く分かんねぇ。けど、今話の流れブチ切ってんのはルーシィだろ」
「……ッ、」

思わぬ正論に、ルーシィが唇を噛む。しかし、その感情はすぐに湧き上がる苛立ちに変わっていった。

なにがオレの台詞だよ。
なにがオレの気も知らないでよ。

「……ナツこそ、何の話をしてるか分かってるわけ?」

意地が悪い。
捻くれた反論。
そんなこと分かっている。
それでも、今のルーシィにはそう返すのが精一杯の強がりだった。

ルーシィに睨まれてもなお、ナツの瞳は揺るがずに彼女を見据えた。

「『心』だろ。オレの、ルーシィに対する」

ドキン、とルーシィの心臓が大きく跳ねる。身体は強張り、ナツから視線が外せない。
それは恐怖か、淡い期待か。
ルーシィは口を結んで、後に続く言葉を待った。

「オレはルーシィだから傍にいたいし、傍にいて欲しいと思うんだよ。ルーシィの居場所はオレの隣で、同じようにオレの居場所はルーシィの隣だって、自然と思える」
「か、勝手な言い分ね」
「そうだな、勝手にそう思ってんよ。けど、ルーシィも同じ意見だろ」
「それ、は…」

首を横に振りかけて、止まる。
ナツがこんなにも素直に気持ちを話してくれているのに、またつまらない意地を張って良いのだろうか。自分に正直になれる、最初で最後のチャンスかもしれないのに。
ルーシィが考え込んでる間、ナツは静かに彼女を見つめていた。短気な彼には珍しく、じっと、辛抱強く、ルーシィの返事を待つ。
ようやくルーシィが小さく頷くと、ナツは猫のように笑った。

「ルーシィの傍ってな、楽しいし、なんかあったけぇんだ」

言い、ルーシィの身体を抱き締める。ルーシィが痛くない程度、それでも逃げられないくらいに力強く。

「こうやって抱き寄せたいって思うのも、ルーシィだけだ。エルザもウェンディも同じ仲間だけど、やっぱルーシィとは違ぇよ。あー…傍にいて欲しいっつか、傍にいろよって方が近ぇかも。隣でバカみてぇに笑ってるルーシィが見ててぇんだ」
「ぷっ…何それ。褒めてるのか貶してるのか分からないわよ」
「だよなー。でもそうだって思っちまったんだから仕方ねぇだろ」
「ふふ、ナツってホントあたしのこと好きなのね」
「おう!」
「あはは、またまた…………え?」

ルーシィがしまったと思うより前に、ナツの潔い返事が耳に残り、ルーシィの脳内で反芻される。

ーーーナツってホントあたしのこと好きなのね。

ーーーおう!

すき。
すき。
好き。

その言葉に同意されたのだと思い至った瞬間、足の爪先から全身に熱が沸き上がっていった。心臓はうるさいほどに高鳴り、口から飛び出んばかりに大きく鼓動を鳴らす。密着している部分からナツに心臓の拍動が伝わってしまうのではないかと思うほど、強く強く存在を主張していた。
それが悔しくて、恥ずかしくて、ルーシィは人知れず奥歯を噛み締めた。

「……どうせ、行き過ぎた仲間同士の『好き』なんでしょ」

相手はナツだ。色恋沙汰なんて理解してるハズがない。どんなに傍にいて欲しいと言われても、直接好きと言われても、仲間のそれを抜け出しているとは到底思えなかった。妖精の尻尾に入ってから今までずっと、ナツと一緒にいたからこそ痛い程解ってしまう事実。

なのに心は浮かれてしまうーーーだから悔しい。

分かっているのに動揺してしまうーーーだから恥ずかしい。

羞恥に顔を伏せようにも、身体が動かせない以上ナツの肩口に頭をもたげる他隠す場所はない。けれど、何よりも今は自分の顔をナツに見られたくない。ルーシィは仕方なく、ナツの首に巻かれた鱗柄のマフラーにそっと顔を埋めた。
間髪入れず、自分の行動を呪うことになったのだが。

「んー」
「ひっ!?」

マフラーに頭を傾けることはすなわち、ルーシィにとってナツの声が真横から聴こえる事になる。
真横。
つまり、耳元。
普段は聞こえないナツの小さな唸り声や息遣いが、期せずしてルーシィの熱を上昇させていく。思考もぐるぐると週巡し、徐々にパニック状態に陥っていった。

「な、ななななななナツ、はなッ、離し…」
「エルザに言われた通りだな。全く信じてくれねーわ」
「は、へ? え、エルザ?」
「ん。エルザに『お前の好きは理解しづらいからルーシィは否定するだろう』って言われた。グレイには『ルーシィに説得されるなよ』って言われたし、ハッピーには『とりあえず既成事実でも作ればいいよ』って言われた」
「き、きせ…!? な、なんてこと言ってるのあの仔猫は!?」
「なぁ、キセージジツってどうやって作るんだ?」
「…………ですよねー」

喜ぶべきか悲しむべきか。ナツはこの手の話題に驚くほど疎い。(見た目の)年齢は思春期も迎えてるだろうに、興味がないのか本当に知らないだけなのか、隠語が全く通じない。
ナツだしと思えば納得してしまうのだが、ここでルーシィは一つ違和感に気付いた。

「ん…? エルザに言われた?」

ナツはエルザに言われた通りだと言った。他にも、グレイやハッピーの話題も出てきた。
と、いうことは。

「まさか…あんた、エルザとグレイに相談でもしたの…?」
「いあ、相談はしてねぇよ。成り行きでそんな話に」
「どんな話の流れよ!? あんたこそ周りに説得されたんじゃないの!?」
「ちげぇ、と思う?」
「そこ疑問系にしないでくれる!?」
「かっかっか、ンな訳ねぇだろ。オレだってそこまでバカじゃねーよ」
「バカよ! 大馬鹿よ! 何言いふらしてくれちゃったのよ! だからやたらとエルザ達がからかってきたのね!?」

思い返してみれば、ここ最近はナツとの事で弄られてばかりだった。ハッピーだけならともかく、エルザやグレイもちょっかいを出してきた。ハッピーが楽しそうにからかっているからかと思っていたが、ナツの話を聞いてようやく合点がいった。
イチャつくのは相思相愛の恋人がするのだ、というルーシィの反論に「まだなのか」とエルザは残念そうにしていた。
ようはエルザもグレイも、ナツの気持ちを知っていたのだ。恐らくーーールーシィの気持ちも。
本人達の自覚がなかった時から、周りは解っていたのだ。ナツはルーシィを、ルーシィはナツを、それぞれ特別に想っているのだと。

「……他に、なんて言われたの」
「頑張って落とせとか」
「ぶっ…それも意味分かってないでしょ」
「そんなことねぇぞ。落ちたらちゃんとキャッチしてやんよ」
「分かってないじゃない! もうっ、ホント、バカなんだから…」
「ルーシィにだけは言われたくねぇよ」
「ちょっと、どういう意味よ!」
「お、やっと目ぇ合わせてくれたな」

気付けば、ルーシィはナツを真正面に据えていた。
抵抗しても無駄だと考えていたから油断していた。顔を合わせないように気をつけていたのに。

「ルーシィ」

名前を呼ばれ、ビクリと肩が跳ねた。反射的に逃げるのを察してか、ナツの手に力が入る。

「ルーシィは、オレが信じられねぇのか?」
「ちがっ…、逆よ。信じてるから、否定するの。ナツだから、あり得ないって言ってるの」
「おい…さすがに傷付くぞ」
「だって本当だもの! ナツが恋とか天変地異の前触れよ!」
「だー! 分ぁったから! もう何も言うな!」
「聞いてきたのはそっちでしょ!?」

ルーシィが叫ぶと、ナツは「どこまで信用ねぇんだよ」とポツリと零し、片手で自分の懐を漁り始めた。目的のものはすぐに見付かったようで、取り出してルーシィの前に差し出した。
それは、色とりどりの糸で編み込まれた、露店でよく見る手作りのアクセサリー。

「ミサンガ?」
「おう」

ルーシィの興味を引けたことに満足してか、ナツが破顔する。

「この前、隣町に仕事行ったろ? そん時に買ったんだよ」
「この前って…まさかあたしが一人で依頼主に怒られるハメになった仕事のこと?」
「おぅ、そのことは悪いと思ってるぞ。同じチームなのに一緒に報告に行かなくて悪ぃな。露店で偶然これを見かけてな、ルーシィに秘密で買うにはそこしかタイミングが思いつかなかったんだよ」
「じゃあ、お腹が減ったから先にご飯食べるっていうのは…」
「ウソ、じゃねぇけどな。実際腹は減ってたし。けど、それを理由にルーシィを一人になんかさせねぇよ。あん時はホント時間がなかったっつーか…いてもたってもいられなかったっつーか…」
「そんなにミサンガ欲しかったの?」

ナツがアクセサリーの類を欲しがるとは。
少しは見目を気にしていることは知っていたが、洋服であって装飾のそれではない。そもそも、ナツは戦闘特化の魔導士だ。身に付けるだけのアクセサリーなど邪魔以外の何物でもないはずである。
にもかかわらず、ルーシィを置いてまで欲しいと言わせたアクセサリーとは、一体どんなものなのか。ルーシィは純粋に好奇心を引かれ、ナツに尋ねてみた。
ナツは「じゃあ手ェこっちに寄越せよ」と指をくいくいと動かしてルーシィを催促した。不思議に思いながらも紋章の刻まれた手を差し出すと、そっちじゃねぇとナツに逆の手を取られる。
そして、たどたどしい手つきでミサンガをルーシィの指に絡め、軽く結いた。

「ーーーッ!!」

そこは紛れもなく、左手の薬指。

永遠の誓いを立てる結びの指。

「こ、れ…」
「まさか意味分かってるのか、とか聞かねぇよな?」
「そりゃ…聞きたくもなるわよ」
「ヘコむぞちくしょう」

ナツは吐き捨て、恨めしげに唇を尖らせる。その表情が拗ねた子供のようでルーシィは思わず吹き出してしまった。

「笑うな!」
「ご、ごめ…なんか可笑しくて」
「今日のルーシィはいつにも増して残忍だな…鈍感だし」
「ナツにだけは言われたくないわよ!」
「鈍くてもルーシィほどじゃねぇぞ」
「どういう意味かしら!?」
「だからそのまんまの意味だって」

言い、ナツはミサンガを結いた左手を取って、ルーシィの双眸を真っ直ぐに見つめた。真剣で鋭い瞳がルーシィを射抜く。

「好きだ」

目を細めて、ナツが笑う。
大切なものを見付けられて嬉しいかのように、とても幸せそうに。

「大好きだ、ルーシィ」

もう一度言葉を紡ぐと、ナツはそっとルーシィの額に口づけを落とした。

「ーーーッ!!」

途端、ルーシィの身体中の熱がナツに触れられた場所に集中する。
最初は同じナツのそれで。
次に優しくも柔らかなぬくもりで。
急激に込み上げてくる感情を抑える術なんてもうなくて。ルーシィは考えのないまま、ぎこちなく、けれど強く、ナツの手を握り返した。

「好き」

ナツや周りに迷惑だと決めつけて、居心地の良さを守ろうとして。気持ち良さが壊れるのに臆病になった。
分かっていたのに、知っていたのに、心に嘘をつき続けた。

たった一言。
この一言が、ずっと言えなかった。

「すき。好き、好き。好きなの、ナツのこと、好きなの、大好きなの」

堰を切ったように伝えたかった気持ちが、想いが、溢れていく。
本当は苦しかった。本当は辛かった。曖昧に認識している時ですら、素直になれればどれだけ楽だろうかと何度も泣きたくなった。この気持ちを忘れられたらどれだけ清々しいかと何度も悔しくなった。
想いが芽生えなければこんなこと考えなくて良かったのに。苦しまずに済んだのに。綺麗なのは物語の中だけで。実際恋に落ちれば自分がどんどん醜く感じるようになっていく。楽しいなんて、幸せなんて、ウソじゃないか。

でも、
今なら、
わかる。

気持ちを押し殺すから、辛いのだと。
吐き出して、それを聴いてもらえるだけで、嬉しいのだと。

そして、

「なぁルーシィ。オレ、今すげぇ嬉しい。ルーシィの言葉が、何よりも嬉しいって思うんだ」

想いが通じ合えた時、幸せでたまらなくなるのだと。

気付いてしまえば簡単なことだったのだ。簡単だからこそ、気付けなかっただけで。
照れているのか、珍しくはにかんで笑うナツに、ルーシィもつられて笑顔を零す。そして、お返しと言わんばかりにナツの頬に自分のそれを押し付けた。



星喰み
小さな想いの光を一緒に食べましょう。
きっと、想いはさらに輝きを増すのだから。








「ねぇナツ。そういえば、なんで指輪じゃなくてミサンガにしたの?」
「ん? なんだ、指輪じゃなきゃいけねぇのか?」
「……へぇ」
「わ、悪い! オレが悪かったから睨むな拗ねるなそっぽ向くな!」
「もう…だから意味分かってるのって聞きたかったのよ」
「んん? なんかあるのか、ミサンガって」
「あるというか、ミサンガって別に『プロミスリング』とも呼ばれてるのよ。一般に、プロミスリングって指輪のことなんだけど、切れると願いが叶うってことでパラドックス的に言われてるみたい」
「おー。じゃあ婚約指輪みたいなものなんだな」
「随分斬新な婚約指輪…てぇ!? な、な、何早まっちゃったこと言ってるのかしら!?」
「なんだよ、遅かれ早かれ結婚するならいつ婚約したって一緒だろっつーかしなくてもイイだろ」
「その考えが早とちりって言うのよ! また誰かの入れ知恵!?」
「いあ、オレ流」
「せっかちすぎですが!?」




2012.12.04.
「辛」い時、たった一言で「幸」せになるんだよ。
素敵な言葉だよね。ぼくはそう思うよ。
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COMMENT



2012-12-15-Sat-16:05
小説楽しく読ませていただきました。おもしろかったです!!お疲れ様です。 ちょっとした相談事 プロフに、萩野様のイラストを使わせていただきたいんですけど、よろしいですか?

2012-12-16-Sun-12:35
んぼさん>>

こんにちは、コメントありがとうございます。
そして嬉しいお言葉まで…ありがとうございます(*´ω`*)

イラストの件ですが、大変申し訳ないのですが使用はご遠慮下さい。
交流のある方でしたら問題ないのですが、やはり初見の方に突然使用させてほしいと言われても承諾は出来ません。
私の絵を気に入ってこそのお言葉だとは思うのですが、申し訳ありません。

ではでは。

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